「『意味の論理学』入門──フッサールとドゥルーズ」
河口 丈志(かわぐち たけし/トゥールーズ第二大学)

 ドゥルーズの『意味の論理学』の主な論点は、第一に、意味(sens)は言語的存在者に限定されるものではなく、第二に、意味は意識に属するものではなく、無意識に属する超越論的領野から生じるものであり、第三に、その領野=表面もまた発生する、というところにある。ここでは、意味に関する段階的な諸発生が問題になっており、第一に、意味が個体化や命題の意義を生産する段階、第二に、意味が表面から発生する段階、第三に、表面そのものの発生の段階、が論じられている。第一の論点に関してはフッサールという先駆者がおり、ドゥルーズの議論が彼に負うものは大きい。しかし第二と第三の論点はフッサールに抗するものであり、意味を意識に属さないものとして考えるためのものである。つまり、ドゥルーズは単なる条件づけにとどまらない意味の発生について考えようとして、この議論を導入している。本論では、効果としての意味というとらえ方について簡単に説明した後、三つの発生について論じるドゥルーズの意図を概観的に説明しようとした。